農園について

農園と野生動物

コンセプト

 びえいハスカップファームでは北海道に生息するキタキツネのエキノコックス対策のため、出荷する果樹の畑は全て防獣フェンスや防獣ネットで囲っています。その為、キタキツネ・エゾタヌキ・アライグマ等の一般的な害獣は園内に侵入できません。
 ですが10年ほど前から北海道にのみ生息するエゾユキウサギが畑の中に入ってくるようになりました。
ウサギといえば木をかじるなど基本的には害獣に位置する動物ですが、なぜか現時点まで被害という被害は確認されておりません。園内は沢山の牧草が生い茂っていて、牧草の他様々な植物が豊富にある事などによりハスカップの木をかじったり食べたりしなくても良い環境にある状況も被害が出ていない要因の一つかもしれません。
 その他、天敵となる野生動物や上から狙ってくる猛禽類から逃げるため隠れやすいハスカップやブルーベリーの木々をウサギが利用している可能性もあります。そういった事から農園ではウサギを無理に追い出す必要性も感じられずそのまま自然本来の環境に近づけています。


ウサギとブルーベリー

 この映像は野生のウサギがブルーベリーを食べる様子を撮影しました。Twitterではこの動画が多少話題となりネットメディア等にも紹介して頂き様々な反響がありました。
 野生のウサギがブルーベリーを食べている姿を目撃する事自体が珍しいのですが、通常果樹園は野生動物からの被害を考えウサギを追い払うのが普通だと考えられます。しかし、びえいハスカップファームではウサギが果実を食べている事について助かっているのが現状です。
 当園では家族経営なのでブルーベリーの収穫には労働力も時間も足りません。収穫のアルバイトも農村地特有の通勤手段が限られる問題ため人員確保が難しい状態です。

当園では基本的にブルーベリーの下の方にある果実は雨の跳ね返りなど汚れが多いので商品としての出荷をしておりません。ですが、そのまま放置してしまうとスズメバチが飛来したり果実が腐ると病害虫の原因にもなるので基本的に全て収穫し、廃棄しなければいけません。
 労働力も時間も無いため処分に困ったとき、ウサギが食べているのを見て「これだ!」と考えました。
もちろん、下の方の果実を全てウサギが食べてくれることは無いのですが少しでも収穫に役立ってくれているのなら大変こちらとしても助かります。


野生動物との共生・共存

コンセプト

 毎年、一年を通して数匹のウサギが園内にいます。一般的にウサギといえば繁殖力が強く栄養豊富な果実を食べるとさらに増えるのではないかという疑問も生まれるでしょうが、北海道にのみ生息するエゾユキウサギという野生動物は北国の厳しい環境や、観光客の餌付けにより増加したキタキツネが天敵、近年ではエゾシカが急激に増えたためウサギが食べる食物の減少といった事などがあり、エゾユキウサギは減少傾向にあるという調査報告もみられます。

 また、ウサギが農園に生息する事について被害がなければ果樹園としてのメリットが多いと私共は考えます。春先には大量の兎糞が農園中に落ちており調べてみると肥料としての成分量が非常に高い事。ウサギの糞は乾燥しており牛の堆肥のような発酵の手間が必要ない事。そのためそのままでも畑が肥え、肥料のコストを大幅にカットできる事は近年言われている持続可能な世界づくりの一歩であると考えます。
その他、ウサギが細かい枝をかじることによる剪定効果もあります。何故か大きな幹となる枝はかじらないので被害が無い以上人手が足りない農園としてはありがたいことです。

 農園にとっても、ウサギなどの野生動物にとってもお互いに住みやすく、快適な環境作りは非常に大切だと感じています。また、私どもの農園が偶然にお互いの求めているものと上手く歯車のように噛み合ったただけで全ての農園、果樹園に当てはまるわけではないことも承知しております。しかし、総合的に考えて排除することは簡単ですが近年の気候変動・環境問題等、時代を考えたときに同じ地球上に生きている野生動物との共生・共存も被害が無いのであれば、これからもより良い関係性づくりをしていきたいと私共は考えます。